先月、梅雨の苔寺を参拝して来ました。
6月は嬉しいことの盛りだくさんの月でした。
先月、ご紹介した私の教え子のチェシルはなんと今、芥川賞候補です。
十年前、彼女の長編を初めて読んだ時に直観として降りて来たこと。
「あなたは将来、必ず陽の目を浴びる。そして芥川賞をとるかも知れない」と。
本当に起きることなので、そんな言葉が降りて来たのですね。
そして、三年越しの映画「古都」のロ-ドショ-が決まりました。
今年の11月、京都で先行ロ-ドショ-の後、12月から全国で公開されます。
その待ちに待った情報公開解禁が6月15日でした。
さらに、6月23日には三人目のお孫ちゃんが誕生。
ちょうどお手伝いに行っていた日に入院となり、息子と長男くん(4歳)と出産に立
ち会いました。
赤ちゃん誕生の素晴らしい瞬間を一緒に迎えることが出来たのです。
「Shimple Gifts」
最近、毎朝「Shimple Gifts」を聴いています。
ヨ-ヨ-マの演奏でアリソン・クラウスが歌う静かな曲です。
「Shimple Gifts」はもともとアメリカのシェイカ-教の聖歌でした。
シェイカ-教とは、ハリソン・フォ-ド主演の「目撃者 ジョン・ブック」に登場す
るア-ミッシュたち。アメリカで伝統的な暮らしを今もしている彼らはシェイカ-教
徒です。シンプルな昔ながらの生活をしている人々。
この歌の歌詞は人生の真実を謳っています。
心に沁みる素晴らしい曲です。
今、ドキュメンタリ-映画の制作に携わっています。
四年がかりで撮影して来た映像をもとにちょうど全体構想~構成をしているところ。
ドキュメンタリ-映画は今回が初めて。
「ドラマの視点が欲しい」ということで参加させて頂いています。
まだ内容について詳しくは書けませんが・・・。
登場するのはウガンダのエイズ遺児の子供たち。
ウガンダの子供たちがどういう苦難の状況にあるか?
人はいったい、何により癒され、変わることが出来るのか?
何により、悲しみを忘れ、喜びを得ることが出来るのか?
また、与えられる人から与える人へと成長出来るのか。
映画の制作を通じて、私自身がたくさんの気づきを得ています。
その構成打ち合わせを日野市の百草にあるある施設でやらせて頂いています。
緑が溢れ、鳥のさえずりが聴こえる素晴らしい環境です。
実は此処は日本全国の遺児、またウガンダからの留学生のための寮です。
そんな中、素敵な出来事がありました。
留学生のベアリ-君とアイネ君の二人が、私たちのために夕飯を作ってくれたのです。
ウガンダの定番、郷土料理だそうです。
ウガンダから持って来た特別な香辛料を使って炊き込んだピラフ。
そして一見、カレ-に似ているのですが、やはりウガンダから持って来ている小魚の干
物を使ったシチュ-のようなもの。これをかけてご飯を食べる。
美味しい! 本当に美味しかった!
何より、彼らのその思いやり、おもてなしがとても嬉しかったです。
ベアリ-君は、今回の映画でウガンダ語から英語に訳すのを手伝ってくれている。
そして、もう一人のアイネ君。
実は、助監督のカヨコさんはアイネ君に十年前、あしなが育英会のキャンプで出逢っ
ていたのです。十年前はまだ小学生だったアイネ君が、まさか、日本に留学している
とは・・・。カヨコさんとアイネ君は驚きと喜びの再会を果たしました。
そして、さらに彼女が喜んだのは、アイネ君が小学生の時にカヨコさんたち番組制作
のクル-と出逢い、映像制作に深く興味を持ったこと。だからそういう方向に進みた
いと強く思っていること。
アイネ君は十年前、カヨコさんと出逢った頃、既に孤児となり親戚に引き取られてい
た。でも、13歳の時にその家も追い出され、また一人になってしまった。
彼は夜、車を洗う仕事をして、朝から学校に行く。
洗うと言ってもその村には水道はありませんから、水をよそから汲んで来る。
それでも、とにかく働いて学校に行き、勉強を続けた。
その努力のおかげで、今回、「あしなが育英会」で留学の機会を得た。
これはかなり優秀でなければ選ばれません。
「アイネ、本当に大変だったのね」と、カヨコさんは労いました。
すると、彼は
「全然、大変ではなかった。ぼくは仕事もあったし、学校にも通えたから恵まれてい
る。それに遺児であったおかげでこうして日本に留学することも出来た」と。
そんな答えが返って来たのです。
彼がなぜ、それだけ頑張れたか?
それは子供の頃、出逢ったカヨコさんたちの撮影クル-。その仕事がとても魅力的で
あり、自分も是非、映像制作の仕事に就きたいと思ったそうです。
「夢」ももちろん素敵です。
それより強いのは「志」ですね。
「夢」は自分のため。
「志」は誰かのため、世の中のために何かを成し遂げようとする。
百草での構成合宿は緑と風の中、屋外で開いていました。
そんな中、監督がある曲を聴かせてくれました。
それが「Shimple Gifts」でした。
これは、映画の中で子供たちが歌う曲でもあったのですが・・・ヨ-ヨ-マの演奏に
アリソン・クラウスが歌う楽曲。
これを聴くと、映画のオ-プニングの映像が見えました。
子供たちが聖なる労働をしている場面。
そして、また数日後の打ち合わせ、夜になって室内に移動した時。ふと暗い廊下を歩
いていると、「Shimple Gifts」の曲とともにエンディングの映像が降
りて来た。
部屋の明かりを落として、もう一度、「Shimple Gifts」を流し、その
ラストシ-ンを語りました。
助監督のカヨコさんは泣いていました。
そう、すべては「Shimple Gifts」なのだ・・・。
その時、映画のテ-マも見えました。
幾日か過ぎ・・・
ある朝、その曲を一人で聴いていると
突然、涙が溢れて止まらない・・・
それはあらゆることに対しての感謝の思いでした。
ああ、すべてが与えられている。
それはいわゆる「いいこと」「嬉しいこと」だけではなく。
本当にすべてが与えられていたんだ・・・。
そして、これからも与えられるんだ。
いつも導かれて来たのだ・・・。
そう思えて、涙が止まりませんでした。
私が生まれたこと。
育ててもらったこと。
そこで出逢った人々、出来事。
家族として結ばれた魂たち。
二児の母となりシナリオを勉強しようと思ったきっかけ。
シナリオライタ-を目指す思いが人より強かった理由。
夫の実家の破産。借金返済。
でもそのおかげで、家族皆が脚本家の仕事を頼みの綱としてくれた。
わたしの場合、たいして苦難の道なんて無かった。
恵まれていた。
それでも自分の未熟さが原因で紆余曲折して生きていた。
そんな中、チベット体操に出逢った。
今でこそ、たくさんの方々にお伝えすることが出来ていますが
教室に生徒さん二人・・・なんて時もありました。
それでも、十数年、四谷教室を続けて来られた。
たくさんの方々のサポ-トがあったおかげ。
こうして、わたしはいつも、与えられて来た。
ウガンダの子供たちを通して分かること。
すべての生命は、自分で選んで生まれて来ている。
親も環境も。
そこに苦難が待ち受けていても
魂が高みを見て
そう在ろうと思えば
世界は光に満ちて来る。
彼らは幼くして親を亡くすという悲しく、厳しい環境だった。
けれど、おばあちゃんやおばさんや母親の友人・・・、彼女たちが引き取り、貧しい
ながらも育ててくれた。
日本の子供たちと違い、労働は当たり前。家事を手伝う。
学校で学べない多くのことを学んでいる。
「教育を受けるチャンス」を日本から与えられ彼らの瞳が輝き始める。
かけがえのない体験が彼らをどんどん高みに導く。
ギフトは生まれたときから在る。
苦しいことが訪れる時にも在る。
さらにギフトは、あなた自身の内にある「才能」でもある。
わたしたちはギフトを持って生まれて来ている。
「Shimple Gifts」
あなたのギフトは何ですか?
「Gifts」なんです。だから複数。
そしてそれは「Shimple」なんです。
今月のメッセ-ジは
あなたの「Shimple Gifts」に気づくこと。
わたしたちはこの一回きりの人生を生きて行く。
みな、生まれ
みな、いつか死ぬ。
その間に在るのが「人生」。
瞬間のきらめきを生きるのが「人生」
「Shimple Gifts」
わたしたちは既に与えられている。
そして、これからもいつも与えられる。
チベット体操と出逢った。
これも「Shimple Gifts」の一つですね。
最後まで読んで下さってありがとうございます。
*6月27日、誕生日の朝、目覚めるとポコちゃんがいました。
光の中で・・・。
愛と感謝をこめて
梶本 恵美